急迫な危難を避けるために、やむを得ずに行なう行為をいいます。

 違法性阻却事由の一つです(もっとも、学説によっては緊急避難の一部

 あるいはすべてを責任阻却事由とするものも存します)。


  自己または他人の生命、身体、自由、財産に対する差し迫った、つまり

 現在の危難を避けるため止むを得ず行なった行為で、その行為から

 生じた害が避けんとした害の程度を超えない場合に認められます。

 その害の程度を超えたときは過剰避難となって違法なものと

 なることは、正当防衛の場合と同様です。

 掲げられている方益は生命、身体、自由、財産の四つですが、

 名誉、貞操に対する現在の危難(実害と危険)を

 避けようとする場合にも認められます。


  正当防衛と異なるのは、
 
 
①正当防衛は、不正に対する正という関係であるのに対し、
  緊急避難は正対正という関係にあること、
 ②緊急避難は、他にとるべき方法のない場合でなければ
  認められないこと、
 ③法益を比較して、避け得た害の方が加えた害より
  大きくなければならないこと、
 
 
 の三点にあります。

  道幅一杯の自動車を避けようとして沿道の家に立ち入った場合、

 生命・身体の危険と住居の安全との比較から緊急避難が
 
 許されるので、住居侵入にならないのはその一例です。

 ただし、警察官、消防官のように一定の危険に身をさら

 職業の者には緊急避難成立の余地が少なくなります。